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- 2020年7月28日(火)
【マツダロードスター】徹底的な軽量化と重量配分(レイアウト)の工夫
公開日:2020.07.28(tue)
3代目ロードスター(NC)VS、前回はロードスターが追い求めた3つのFAN(ファン)、「見る楽しさ」「運転する楽しさ」「日常で使う楽しさ」についてご紹介いたしました。
前回のブログ「ロードスターが追い求めた3つのFAN(ファン)」はこちらから
今回は前回ご紹介しきれなかった「運転する楽しさ」につながる4つの工夫のうち2つ、「徹底的な軽量化のための工夫」と「レイアウトの工夫」についてご紹介いたします!
【徹底的な軽量化のための工夫】
快適装備、安全装備を備えるとやはり問題となってくるのが「重量」です。SUVなどの大きな車がそうですが、家族全員で乗車でき、荷物をしっかり詰め込めて、安全かつ空調機能などの快適装備もバッチリ…と、いろいろ詰め込むとどうしても車は重くなってしまいます。するとスピードやステアリングの軽さというものは減少せざるを得ません。また同時期、マツダ社から発売を予定していたRX-8とプラットフォームを共有化したことでロードスターの重量問題は大きな課題となりました。
その点ライトウエイトスポーツカーとしての位置を確立しているロードスターが、重量が重くなりスピードやステアリングの軽さが出せないとなると残念なポイントとなってしまいますが、ロードスターは必要装備のため重量が重くなる分、その他のパーツを全て0から作り出すことで、徹底的に軽量化した3代目ロードスターを実現しています。
そのことを当時の開発者、貴島孝雄氏は「軽さが性能」と表現しています。
●ボディ
ボディには軽量素材であるハイテンションスチールを採用しています。素材により、先代から少し幅が広がっているにも関わらず、ボディ何もついていない状態での重量は1.36kgも軽くなっています。
●ミラー
ミラーは走行性能や各種装備に影響がなく、軽量化できる点の1つです。3代目ロードスターはミラーの軽量化を徹底し、インナーミラーは先代より84g軽くなっています。またサイドミラーに関しては軽量化のため、電動ではなく手動のミラーとなっています。(手動のミラーにしたのはなるべくコストを抑え、多くの人に乗車してもらいたかったという思いもあったそうです。)
その他もボディやミラーのように徹底的に軽量化されているものの、安全性や快適性のための装備をしたことでその重量は先代より10kg増加しています。(これだけしてたった10kgという見方ももちろんありますが。)
ロードスターはその10kg増加を走行性能に響かせないため、重量配分を工夫しました。それが次の項目「レイアウトの工夫」です。
【レイアウトの工夫】
レイアウトは「重量をどこに置くか」のによって、スピードはもちろん、直進走行での安定した走りや車体の曲がりやすさにも左右いたします。
●50:50+重量の集中+低重心
ロードスターはボディの中心から前と、中心から後ろの重量をちょうど同じに(50:50)になっています。これを50:50前後重量配分と呼ぶそうですが、この50:50前後重量配分を生かしきるには条件が2つあり、それが「低重心であること」そして「重量が中央に集中していること」です。
どちらもスポーツカーがお好きな方はよくご存知かと思いますが、まずあらゆる重量物を低い位置に配置する「低重心」は直進やコーナーでの安定につながります。実際ドライブしていただけると、その安定性を十分に感じることができるのではないかと思います。
次に「重量の集中」は、コーナーでステアリングを切るとすぐに反応して車が曲がる軽さは、重量が中央に集中していることで実感できるメリットです。
この3点が集まることで、ブレーキを踏めば瞬時に重心が少し前に移動し、加速時にはリアに重心が移動、直進では浮くことなく安定し、切れ味の良いコーナリング…というドライブを実現することができるそうです。
3代目ロードスターはこの3つの組み合わせを確実に実現するため、レイアウトの工夫を行っています。
●ボディ
先ほど軽量化のところでボディの軽量化についてお話しておりますが、ロードスターはとにかく外側の軽量化を図ることで、中央に集中させた重量と差をつけています。
●エンジン
先代では前方付近に位置したエンジンを、バルクヘッドをへこませることで135mm後方へ移動させています。後方へ移動するために、元々縦並びで置いていたエアコンコンディショナーのクーラーとヒーター用のコーンを横並びに配置し直すことでエンジンの場所を確保しています。そのため、横から見るとタイヤの中心よりも後ろにエンジンが搭載されている状態です。
その他のパーツも全て、重量はなるべく中央+低い位置に集中させ、その他のパーツは徹底的に軽量化されています。
前回「運転する楽しさ」のところでご紹介した、
・ボディラインの工夫
・ボディ剛性パーツの取り付け方の工夫
に加え、
・レイアウトの工夫
・徹底的な軽量化のための工夫
この4つが運転する楽しさを作り上げています。
…どこまで説明しても、乗ってみないと分からないのではないかと思います!
ぜひご体感くださいませ。