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- 2020年7月23日(木)
【マツダ ロードスター】ロードスターが追い求めた3つのFAN(ファン)
公開日:2020.07.23
ロードスターの初代が発売されたのが1989年。それ以来「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」などに選ばれ、国内外で人気の高いライトウエイトスポーツカーです。
こちらは7年ぶりにマイナーチェンジされた2005年、3代目ロードスター(NC)VSです。
初代、2代目と変えなかったプラットフォームを一新しており、ほぼ全ての部品を最新の技術で新設計した一台です。3代目に詰め込まれた数々の新技術は今後のロードスター開発における礎ともなっています。
3代目ロードスターが開発された頃、安全性能の基準が高められ、自動車は日常性や快適性が重視されるなど「ライトウエイトスポーツカー」にとっては厳しい環境でした。そのため、開発チームは安全性や快適性を兼ね備えながらも、マツダの「人馬一体」「走る喜び」というコンセプトを変えることなく、新しいロードスターを生み出す必要がありました。
そうして生まれたのが「3つのFAN(ファン=楽しさ)」を実現した3代目となるロードスター(NC)です。今回はこの「3つのファン」を解説いたします。
【1.FAN TO LOOK】
1つ目は「ファントゥルック」、見る楽しさです。
走行性能、安全性能など…もちろん車にとって大切なことは多くありますが、ロードスターは「オーナー自身が見ているだけで楽しい車」さらに「街角で見かけるだけで楽しい気分になる車」を目指しました。それがファントゥルックです。
先代から受け継がれるロードスターのコンパクトかつタイトな印象は持ちつつも、どこか心地の良い親しみやすさが取り入れられています。VSグレードだけの専用サドルタンレザーシートは上品な素材でありながら、明るい印象のブラウンとなっています。また時間が経つと風合いが変わってくる楽しさもあります。
【2.FAN TO DRIVE】
2つ目は「ファントゥドライブ」、運転する楽しさです。
スポーツカーといえば速さが最重視され、それが楽しさに繋がっていますが、3代目ロードスターはただ速いのではなく、「ドライバーがどう感じるか」という点を最重視しています。そのため、速さのための軽量化やボディ剛性はもちろんのこと、ハンドリングのレスポンスの心地よさ、安定した走行性能、安全性や快適性など、様々な要素を取り入れています。そこには「数値には現れない魅力」があります。ドライブを体感してこそ、本当の魅力を感じていていただけるはずです。
…とはいえ、ブログで魅力を言葉にしないわけにはいきませんので、その魅力の源をご紹介いたします。
今までは重視していなかった安全性や快適性などを高めようと思うと、どうしても車幅が大きくなる、ボディ剛性が低くなる、重量が重くなる、という問題が表出しました。それはライトウエイトスポーツカーとしても、走る喜びを体感できる車としても決定的な弱点となります。そのため、開発チームでは本筋である「人馬一体」「走る喜び」というコンセプトを曲げることなく、その他のメリットを取り入れる工夫が施されました。その工夫をいくつかご紹介いたします。
工夫1・ボディラインの工夫
2代目より車幅が大きくなった理由は安全性を高めるためのサイドエアバッグの展開スペース幅が必要だったからです。そのため、シートがあるボディの真ん中部分はどうしても車幅が大きくなってしまいますが、代わりにボディ前後を限界まで絞り上から見るとオーバル(楕円)型となっています。さらに、空力特性を向上させるため、フロントバンパー両サイドは一部を張り出したデザインとし、リアコンビランプはコーナー部を張り出したデザインに一新されています。
工夫2・ボディ剛性パーツの取り付け方の工夫
エンジンルームに装着される剛性のためのストラッドタワーバーは、従来、エンジンの上を通過するように取り付けられることがほとんどでした。しかし左右に繋ぐだけではなく、ボディに沿わせることでバルクヘッドの剛性を高めています。このように従来の合成のための部品、取り付け方に工夫を凝らし、先代よりもねじり合成は47%強化され、曲げ剛性も22%強化されています。
工夫3・レイアウトの工夫
工夫4・徹底的な軽量化のための工夫
レイアウトと軽量化については大変長くなりそうでしたので…、また次回のブログで力説いたします(笑)
このように多くの工夫があることにより、3代目ロードスターの運転する楽しさが実現されています。また、3代目のロードスターは先代までと違い、高速で飛ばさなくても街の四角を曲がるだけでも気持ち良さを感じられるという点や助手席でもドライブを楽しむことができるという点において、ドライブの魅力は先代より大変向上していることを感じられるでしょう。
【3.FAN TO USE】
3つ目はファントゥユース、日常で使う楽しさです。
それは3代目ロードスターのイメージカラーにも現れています。スポーツカーといえば赤や黄色をイメージしますが、3代目ロードスターのイメージカラーはこちらの「ギャラクシーグレーマイカ」でした。それはサーキットや遠出をする「非日常性」ではなく、毎日の生活に溶け込んで喜びや楽しみを感じてもらおうとする、マツダの「日常性」の表現でしょう。
落ち着いたカラーのスポーツカーからビシッとスーツで決めて出勤、休みの日に子供を隣に乗せてちょっとドライブにお出かけ、仲間とのゴルフ、行き帰りはオープンにして風を浴びながら…。このようにロードスター(NC)は車が中心でなくとも「移動手段」としての車が日常を彩る、そんなロードスターとなっています。
ちなみにゴルフバッグ入るの?と思われた方、ご安心ください。9インチまでのクラブヘッドが収まるように、トランクスペースには一部凹みが作られています。また、こちらのロードスター、コンパクトでありながら10箇所に収納スペースがあり、カバンや小物、飲み物を置く場所にも困りません。
そして何よりの特徴は3代目ロードスターから採用されたZ型ソフトトップです。Z型となったのはソフトトップの外側が、内側に来ることなく折り畳めるため、汚れ防止となります。軽量化のためにソフトトップは電動開閉ではなく手動ですが、座りながらでもさっと開け閉めできる簡単さがございます。操作に慣れれば電動よりもスムーズに開閉が行えるため、開閉したい時にできる快適性があります。オープンにした際は、シート後ろのメッシュタイプエアロボードをが、巻き込み風を防いでくれます。
(▲「RELEASE」ボタンを押しながらレバーを引っ張れば簡単にソフトトップのロック解除ができます。)
さて、今回は3つのFANを解説しました。
マツダのロードスターに懸ける想いが詰まった3代目ロードスター。その追求された「楽しさ」を、ぜひ一度ご体感ください。次回もお楽しみに♪