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- 2020年1月30日(木)
【メルセデスベンツS63 AMGロング】AMGの歴史が語るエンジニアの情熱と誇り
公開日:2020.01.30(Thu)
2012年メルセデス・ベンツS63 AMGロング入荷いたしました。
メルセデスベンツ「S63 AMG」はメルセデスベンツの最高級セダンである「Sクラス」をベースにメルセデスのチューニング部門であるAMGが手がけたお車です。AMGは設立当初は独立したチューニングメーカーでした。設立メンバーはハンス=ヴェルナー・アウフレヒト(以下、アウフレヒト)とエバハルト・メルヒャー(以下、メルヒャー)という2人で、AMGの名前もアウフレヒトの頭文字AとメルヒャーのM、そしてアウフレヒトが育ったグローザスバッハのGをとってAMGといいます。今回はメルセデスの多くの車の真の力を引きだし、ドライバーに走る喜びを与えてきた「AMG」を2人の歴史と共にご紹介いたします。
AMGの歴史を語るには1955年の「ル・マン24時間耐久レース」まで遡ります。フランスで開催されたル・マン24時間耐久レースに参加していたメルセデスベンツは接触事故起こしてしまい、メルセデスベンツ300SLRは大爆発を起こしました。その事故でドライバーのピエール・ルヴェーはもちろんのこと、観客83名が亡くなり、それがきっかけでメルセデスベンツはカーレースの参加を控えるようになりました。
(参考サイト:Wikipedia「1955年のル・マン24時間レース」)
そのような状況下でも、ベンツの若きエンジニアだったアウフレヒトのレースへの情熱は燃え続け、いつかまたカーレースに参加する日を夢見て高性能エンジンの開発を続けていました。それだけに留まらず、アウフレヒトはメルヒャーの協力を得て、自宅でもカーレース用エンジンの開発を始めました。
そうして2人でエンジンの開発を続けること10年、1965年にアウフレヒトとメルヒャーの念願が叶う日がやって来ました。ドイツのカーレース「German Touring Car Championship」に出場することができたのです。そこで2人の開発したエンジンを搭載したレーシングカーが見事優勝を果たし、さらにその優勝を含め10回も勝利を収める快挙を成し遂げました。
10回の優勝を収めた2人は「モータースポーツこそが技術力の優秀性を何よりも端的に示す」という確信を抱き、1966年にアウフレヒトはメルセデス・ベンツを退社、メルヒャーと共に会社を設立しました。それが「AMG」の始まりです。
設立してすぐAMGは軽量化が意識されている300SEL 6.3で耐久レース仕様を製作しました。そして6.3リッターエンジンを6.8リッターにアップするため、エンジンパーツをAMG製のものと交換することで、300SEL 6.3は300SEL AMG 6.8に生まれ変わり、1971年のスパ・フランコシャン24時間レースに初出場、クラス優勝と総合2位を獲得しました。
このレースの影響を受け、ワンランク上のハイパフォーマンスモデルを求める声が多く上がりました。メルセデス・ベンツはこれを受けて、1999年にAMGを正式に迎えることとなり、現在の「メルセデスAMG」というチューニング部門となったのです。
アウフレヒトとメルヒャーが2人でエンジン開発をしていた頃からAMGはエンジンへの情熱や誇りを持ち続け、車をチューニングするというよりも作り上げる意識で開発に臨んでいます。そのため、AMGのエンジニアは車が完成してからチューニングの段階で参加するのではなく、車の開発段階から参加し、求められるテクノロジーやスペックを具現化していきます。また、AMGのエンジンひとつひとつには責任を持ってエンジンを組み立てた証であるマイスター(担当者)の名前が記されています。
今回入荷しましたメルセデスベンツS63 AMGロングにはAMGのエンジニアが手がけたエンジンはもちろんのこと、サスペンションとブレーキシステム、マフラー、シートなど多数のAMGグレード専用パーツが装備されております。
メルセデスSクラスの快適さと共に、AMGの洗練された走りをぜひご体感ください。こちらのお車の豪華装備についてはまた次回のブログでご紹介いたします。お楽しみに♪